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生産緑地法の改正

2017年9月1日

◇生産緑地法の改正

 平成29年2月10日閣議決定された、「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が6月15日に施行されました。この法律は生産緑地法も対象としており、大きな改正が見込まれます。今回、生産緑地法改正の方向性について紹介します。

  

1.面積要件の緩和 

 現行の制度では、生産緑地としての指定を受けるには、面積が500㎡以上あることが必要とされています。

改正法では、「市町村は、公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して必要があると認めるときは、条例で、区域の規模に関する条件を別に定めることができる。」と規定され、市町村の条例で300㎡を下限に面積要件を引き下げることが可能となりました。

現在は一律500㎡以上の面積が必要とされる生産緑地ですが、改正後は市町村によって面積要件が異なる場合も想定されます。


 2.生産緑地地区内で直売所や農家レストラン等の設置が可能に

 生産緑地地区では一定の行為制限があり、農産物の生産又は集荷の用に供する施設等を除いては、建築物の新築等が制限されています。

改正法では、「当該生産緑地の保全に著しい支障を及ぼすおそれがなく、かつ、当該生産緑地における農林漁業の安定的な継続に資するものとして基準に適合するもの」と、定められました。

生産緑地地区内で許可を受けて建築できる施設として、ビニールハウス、集荷倉庫、 農機具等の倉庫などに加え、以下の施設が追加されました。     


①農作物等を使用する製造・加工施設(ジャム等の製造施設など)

②農作物等、製造・加工品の物販店舗(直売所や上記商品の販売店舗など)

③農作物等を使用する飲食店(農家レストランなど)


3. 買取り申出が可能となる始期の延期

 現在生産緑地指定を受けている農地は、平成3年9月10日の生産緑地法の改正を受け、平成4年に生産緑地指定を受けたものが大半であると考えられます。生産緑地指定を受けると30年間の営農義務が課せられ、主たる従事者の死亡や故障を除いては、生産緑地指定を解除するための市町村長への買取り申出をすることができません。                     

改正では、「市町村長は、生産緑地指定から30年を経過する日(申出基準日)が近く到来することとなる生産緑地のうち、当該申出基準日以後においてもその保全を確実に行うことが良好な都市環境の形成を図る上で特に有効であると認められるものを「特定生産緑地」として指定することができる。」とし、その特定生産緑地の指定の期限は「申出基準日から起算して10年を経過する日」と規定されました。

なお、10年経過後は、再度特定生産緑地の指定を受けることができるため、30年経過後は生産緑地の指定を10年ごとに延長することができます。

 

★生産緑地指定から30年を経過する平成34年の考えられる選択肢

①市町村長への買取り申出を行ったうえで生産緑地指定を解除し、宅地化、売却等、農地以外

 の利用を行う。

②「特定生産緑地」の指定を受けて10年間営農を継続し、10年後再度延長の検討。

③市町村長への買取り申し出も行わず、「特定生産緑地」の指定も受けず、いつでも買取り申

 出ができる状態で生産緑地を維持する。 


生産緑地をお持ちの方は、所有する生産緑地をどう扱っていくかという点や、今後の税制の対応や議論の動向についても注意を払う必要があるでしょう。

 

(この原稿は、2016年5月の法令に基づき、記載しております。)

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